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2020-08

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初学者用解法"M2L"の紹介

この記事はSpeedcubing Advent Calenderの23日目として書かれています。
22日目はenotsさんのSarah method Advanced解説記事群 "Welcome to Sarah method Advanced!"でした。
24日目は愛しのSumさんによる4×4キューブ 歴史と変遷4×4 Yau method 実践編(DLC)です。遅くなってごめんね。



(追記! 2018/01/03)
当記事で紹介しているM2LがCube Voyage様のルービックキューブの揃え方 初級編に採用されました!!

(前略)
このように、これまでの解法よりもスピードキューブ初心者向けの解法として、たくさんのメリットがあります。

Cube Voyageでは、この先進的な解法を用いて、はじめてスピードキューブをする人のための、そろえ方の説明を行っていきます。

たいへんな名誉ですね……。
というわけで、ルービックキューブを自習しようとしている初学者の方がおられましたら、この記事ではなく、上記リンクよりCube Voyage様の方をご覧いただくのがよいと思います。

理論的なお話やM2L誕生の背景など、そういう点に興味をお持ちの方はそのままこの記事をお読みください。少し長いですが。



(注意)
この記事は「初学者にキューブを対面で教える中級以上の方」向けに書かれています。
初学者の方が読んでわかるようには書いていませんすみません。


この記事の内容は次の通りです。
1.M2Lの紹介
2.解法の説明(僕の教え方)
3.簡易LBL法との比較(手数の期待値について)
4.発展M2L
5.まとめなど

内容に先立って、使っている言葉について説明
この記事には「初学者」という語と「初心者」という語とが使われています。一般的にはおおよそ同じような意味なのですが、ここでは
初学者:ルービックキューブをこれから初めて揃えようという人
初心者:基礎的な手順を身につけ、自分1人でもソルブできるようになった人
という感じでなんとなく区別しています。が、特に気にしなくて大丈夫です。




1.M2Lの紹介
成立とか名称とか実績とか
M2Lとは、2016年2回目のセンター試験直前の筆者(=まっしゅ)が考案したF2Lの初学者用解法です。文書としての初出は同年4月26日のこちらの記事(読まなくていいです)なのですが、未だ「それ既出だよ」の指摘を頂けないので、とりあえずもうしばらく「まっしゅが考案した」ということにさせておいてください。
17年夏頃まで「非LBL簡易F2L」などと呼んでいたのですが、いつしか僕の所属するサークル(大阪大学ルービックキューブサークルROCK MENだよ! よろしく!)で「まっしゅ2L」という呼称が用いられ始め、また定着してしまいました。
今回記事を書くにあたって「まっしゅ2L」では箔がつかないので、ここではかっこうよく「M2L」と呼ばせていただくことにします。

世に出てから1年以上経っているM2Lですが、ROCK MENをはじめとして、首都大ルービックキューブサークルMRCC様などの大学サークルのほか、ごく個人的な指導の場でもちらほら使用報告をいただいております。
僕個人についても、ROCK MENでの指導はもちろんのこと、初学者にキューブを教える時には必ずM2Lを用いるようになりました。
M2Lの更なる普及を目指して書かれた本記事には、発表時に書ききれなかった点や実際に十数人に指導してみて気付いた点、そして多くの新しいアイディアが盛り込まれています。

M2Lのコンセプト
①手順の丸暗記はなるべく避けたい
用いる手順はなるべく原理が説明可能なものであって欲しいわけです。
また、暗記させるにしても、なるべく簡単に覚えられるものにしたい。
②「スピードキュービング」へのなめらかな架け橋となって欲しい
暗記させないならそれでいいというわけでもないのです。
8355methodは手順を暗記させないという点で非常に優れた解法ですが、しかし、あれはスピードキュービングへの移行という点では殆ど寄与しません。僕はスピードキュービングをやる仲間を増やしたい。
簡易LBL法にしてもそうです。完全一面ってスピードキュービスト的にはあんまり嬉しくないですよね? めっちゃ持ち替えるしね。

このあたりの思いから生まれたのが非LBL簡易F2L「M2L」です。



2.解法の説明(僕の教え方)
この節では、僕が初学者に解法を教えるときに気を付けている点を踏まえながら、M2Lを説明していきます。

(準備1)キューブの構造への基礎的理解
ルービックキューブを初めて揃えようという人と我々との間では、キュービストにとって当然に過ぎる事実が共有できていない場合があります。キューブを分解してみせるなどの方法により、次の3つの点を確認しておくことは非常に重要です。
①6つのセンターはコアに固定されており、その位置関係は変化しない。
②エッジとコーナーは本質的に異なるパーツであり、相互に入れ替わることはない。
③ルービックキューブとは面を揃えるパズルではなくパーツの向きと位置を揃えるパズルである。
特に③は重要です。(物理的に)バラバラにしたキューブを実際に組み立てる過程を見せるとよく伝わります。不完全一面を作って「ここからどうすればいいの」と聞いてくる非キュービストの方がよくいらっしゃいますよね。このあたりの誤解は早いうちにきちんと解消しておくべきです。

(準備2)クロス
根性です。
「(物理的に)バラバラにしたキューブを実際に組み立てる過程」において「白と青のセンターの間には白青エッジを入れないといけない」という事実を確認させた上で教えると多少楽です。たぶん。
今流行のデイジークロスもいいと思います。

以下、ようやくM2Lの説明です。

第1フェーズ:エッジパート
①U面からF2Lのエッジを見つける
 僕は「黄色のステッカーが貼ってないヤツ」って説明をしてます。
 あとから「だって黄色があるヤツは最終的にU面に来るもんね」という説明をしておくとベターです。
 ところで、
 「揃ってないスロットを見つける→対応するエッジを探す」
 ではありません。ここ割と大事。

②持ち替え
 見つけたエッジのU面のステッカーの色のセンターが正面になるよう持ち替えます。
 まず持ち替えです。これも結構ポイントです。

③AUF
 見つけたエッジを正面に持ってこさせます。状態としては次のようになります。
 

この場合、青面が正面になります(青F)。
 
この場合は赤面が正面になります(赤F)。
図の表現の都合上キューブの向きが分かりにくいことがあるかもしれませんが、適宜読み取ってください。すみません。


④ラベリング
 
 パーツそれ自体ではなく、ステッカーに「ターゲット」「ゴール」というラベリングをします。
 「今ゴールがあるところにターゲットを連れてくる」のが目標です。
 この記事ではずっとこの向きの赤青パーツのF2Lについて解説をしています。原理で説明するので、左右対称も適当に理解してください。

⑤ゴールをU面に
 
この場合はRですね。
僕は「同じ土俵に上げる」という言い方をしています。


⑥ターゲットでゴールを追い出す
 
この場合はU'


⑦エッジ入れ完了
 
この場合はR'です。
これで、最初のゴール位置にターゲットを連れてくることができました。
ここをどう説明するかですが、「さっき崩したクロスを戻してあげる」という表現でもいいかもしれません。


例外状態

上のようなパターンがエッジパートにおける例外状態です。
これは「関係ないパーツ(UF)」をターゲットとし、⑤~⑦でエッジ入れを行うことで解消できます。あとは②以降を実行するだけです。簡単ですね。

以上エッジ入れを4回繰り返すことにより第1フェーズ終了です。


第2フェーズ:コーナーパート
①U面からF2Lのコーナーを見つける
 僕は「白のステッカーが貼ってあるヤツ」という説明をしてます。
 あるいは、「黄色のステッカーが貼ってないヤツ」でもいいかもしれません。エッジと同じですね。
 やはり「揃ってないスロットを見つける→対応するコーナーを探す」
 ではありません。ここ大事。

②持ち替え
 見つけたコーナーのU面のステッカーの色のセンターが正面になるよう持ち替えます。
 まず持ち替えです。これもエッジと同じです。
 白がU面に出てきてしまっている場合は「あ~これは後で説明するね」です。

③AUF
 
見つけたコーナーを奥にもっていかせます。
初学者の人が一番つまずくポイントがここです。
「奥」に2か所あるのが原因みたいですね。「奥は奥でもこの青白赤が入るのは右側(RFD)だから、右奥(RBU)に置いておいて」って説明してます。


④ラベリング
 
今回のゴールとターゲットは左図の通り設定します。
「エッジとコーナーをくっつける」ことが当座の目標です。
このゴールとターゲットの位置関係に見覚えはないでしょうか。実はこれ、エッジ入れ終了状態のそれと完全に一致してるんですよね。でもこの事実は別に伝えなくて大丈夫です。


⑤ターゲットをU面に
 
この場合はRです。
「同じ土俵に上げる」ですね。エッジ入れと同じです。
そしてこの時、奥にもっていったコーナーがU面からはずれるという事実はとても重要です。是非とも確認させておいてください。


⑥ターゲットでゴールを追い出す
 
この場合はU'です。やっぱりエッジ入れと同じですね。
⑤でコーナーがU面からはずれているために、この操作でコーナーが影響を受けないという事実は確認させておきましょう。


⑦ペアリング完了
 
この場合はR'です。はい、エッジ入れと同じです。
潜ったコーナーがU面に帰ってくることにより、見事にエッジとコーナーがくっついています。


⑧スロットイン
 
このパートはそのまま「エッジ入れ」に相当します。
ここにおけるAUFは必ずU2なので、僕はこのタイミングでダブルトリガーを教えてしまいます
これまた結構ポイントだと思ってます。


②’コーナー白がU面を向いている場合
M2Lにおいて唯一理屈の説明なく丸暗記させねばならないパターンです。
見つけたコーナーに対応するスロットが右手前になるよう持ち替えさせ、またコーナーをその「真上」に持ってこさせます。(図の通り)
手順は (RUR'U')*3 です。覚えやすい!!!!
僕はRUR'U'に「基本の回し方」という名前をつけて(ほんとはSexy Moveとかいうらしいですね)エッジOLLやらT-permの最初の方やらを説明するときに再利用してます。ご参考までに。


例外状態

上のようなパターンがコーナーパートにおける例外状態です。
実はこれ、エッジにおける例外状態と同じように説明ができます。
つまり、「関係ないエッジパーツ(UF)」をターゲットとし、RU'R'でエッジ入れを実行することにより正しく入っていたエッジを追い出し、その後エッジを正しく入れなおせば(U2 RU'R')、コーナーが無事にU面に上がってきて、例外状態を解消できます。

以上を4回繰り返して、第2フェーズ:コーナーパートが完了し、F2L終了です。

全体としてエッジとコーナーで開始面の判断基準が統一的であるほか、あらゆる例外状態に対して「エッジを追い出して入れなおせばいいよ」の一言で説明できてしまうというのは、初学者にとっても教える側にとっても優れた点ではないでしょうか。
さらに、「丸暗記」させる手順は(RUR'U')*3の実質4手だけであり、しかもこれはエッジOLL F(RUR'U')F'などの形で再利用が可能! かなりエコですよね。
そして強調しておきたいのが、持ち替えの少なさ、そして手順の回しやすさ。これは皆さまキューブをお手に取って実感していただきたい。めちゃくちゃTPS出ますよ。

しかし、M2Lの最大の強みはそのいずれでもありません。これについては4.発展M2Lを参照してください。イチオシです。




3.簡易LBL法との比較(手数の期待値について)
この節では、現在初学者用解法として最もメジャーに教えられている簡易LBL法のF2LパートとM2Lを、手数の期待値という観点から比較していきたいと思います。
が、ぶっちゃけこの節は大して面白くないので結論まで読み飛ばしていただいて大丈夫です。長々とすみません。
ていうか、この記事のメインは次の節なので、この節読んで「ダルいな~」ってブラウザバックされると悲しいです。どうぞ飛ばしてください。

簡易LBL法
さてひとくちに簡易LBL法と言っても、その手順にはいくつかのバリエーションが存在します(呼称についても、単にLBL法といってみたり簡易CFOPといってみたり、割に混沌としています)。
今回はF2Lパートについてのみ議論したいので、以下、"簡易LBL法におけるF2Lパート"を単に"LBL"表記し、以下の手順を用いるものとします。
また、「どこまでを手順とするのか」という問題がありますが、今回はAUFを含めない方向で統一しました。


(青F) R U R' - 3手
その他、(赤F AUF:U') L' U L とする流派もある。
手数としては同じく3手であり、こちらを採用しても続く議論は同様に成り立つ。


(赤F) L' U' L - 3手
上と同様に(青F AUF:U) R U' R' とする流派もある。
議論云々についても上に同じ。
(青F) (R U R' U')*3 - 12手
上2つでその他として挙げている流儀に対応して(U R U' R')*3という手順が存在するものの、やはり続く議論に影響しない。



(青F AUF:U) R U' R' U' y L' U L - 8手
(青F AUF:U) R U R' U' y L' U' Lとする流派もある。手数は同じく8手


(赤F AUF:U') L' U L U y' R U' R' - 8手
(赤F AUF:U') L' U' L U y' R U R'とする流派もある。手数はやっぱり8手。


議論の準備
さてここから、LBLとM2Lの手数の期待値を比較していくのですが、F2L全体の手数の期待値を実際に求めるのは難しくてよくわからなかった非常に煩雑なので、今回は個々のスロットのみに注目し、また、いくつかのパターンにわけて計算してみました。
簡単のため、手順の実行者として「理想的な初心者」という概念を導入します。彼のソルブは次のルールに従います。
①各フェーズにおいて、揃えるパーツの順番はランダム
彼は「この向きのコーナー面倒だから後回しにしよう」などとは考えません。パーツは目に入った順(=ランダム)に揃えていきます。
②「知らないパターン」に対しては「知ってる手順」を盲目的に適用する
アンラッキーパターンの処理についてです。この部分はまた後ほど詳しく触れますが、「このアンラッキーパターンはこの向きから処理すると速いんだよな」とか考えないということです。それもう「知らないパターン」じゃないよね。
以上のルールは「一切の先読みや工夫をしない」という表現に集約することができます。これは、初学者に最初から様々な判断や手順暗記を強いるべきではないという観点からも、初学者用解法の優劣を議論する上で妥当なものだと思います。

F2Lの手数について議論をする際に非常にありがたい2つの事実を確認しておきましょう。
①コーナーの状態とエッジの状態はそれぞれランダムかつ独立である。
F2Lパーツのいかなる配置に対しても、残ったLLパーツを適当に配置することでパリティやらなんやらを解消できるためです。
この事実は、たとえば、LBLがコーナーを揃え終わった後のエッジの状態と、M2Lがこれから揃えるエッジの状態は全く等価であるということを示します。(確認:理想的初心者は一切の先読みや工夫をしない)
②コーナー同士の位置関係とエッジ同士の位置関係は等価である。
F2L開始時、既にクロスとしてエッジパーツが4つ揃っているところがミソです。すなわち、コーナーもエッジも残りパーツは4つであり、それらが8つの座席のいずれかを占め、また各パーツにはそれぞれ1つの正位置(ゴール)が設定されています。一緒だね。(ちなみにここでいう「正位置」はパーツの向きを考慮していません。以下同じ)
この事実は、たとえば「コーナーが最初から正位置に1つだけ入っている確率」と「エッジが最初から正位置に1つだけ入っている確率」が等しいことや、「コーナー2つの位置が単独で入れ替わっており、どちらかを1度追い出さねばならない確率」と「エッジ2つの位置が単独で入れ替わっており、どちらかを1度追い出さねばならない確率」が等しいことなどを示します。
準備終わり。以下本編。

LBL
第1フェーズ:コーナー
①ノン・イレギュラー

これですね。それぞれ確率1/3で出ますから、この場合の手数の期待値は
3手*(1/3) + 3手*(1/3) + 12手*(1/3) = 6手
となります。

②正位置

こいつらです。これらももちろんそれぞれ確率1/3で出るので、この場合の手数の期待値は
0手*(1/3) + (RUR'-U'-RUR'=7)手*(1/3) + (RUR'-U'-(RUR'U')*3=16)手*(1/3) = 23/3手
となります。

③異位置

こういったパターンですね。この場合の手数をどう扱うかは難しい(持ち替えやAUFの有無など)のですが、今回の目的は厳密に手数を求めることではなく解法同士の比較をすることなので、「知ってるパターン(=①ノン・イレギュラー)に還元するのにかかる手数」とすることにしました。LBLにおいてスロットから追い出したコーナーパーツの向きや位置が続く操作に及ぼす有利不利はM2Lにおけるそれと全く同じだからです。従ってこの場合は
RUR' = 3手
となります。

(注)
「②正位置」においてなぜ手数として「知ってるパターンに還元するのにかかる手数」を採用しなかったのかについてですが、これは②でRUR'により追い出したコーナーがU面においてとり得る状態が①と等価ではないからです。すなわち、RUR'によりコーナーを追い出してからAUF:U'ののちL'U'Lで入れなおすパターンとは、コーナーが正位置かつ正しい向きに入っている(=既に揃っている)状態のことであり、これに対応する手順は当然0手となります。



第2フェーズ:エッジ
①ノン・イレギュラー

これです。それぞれ確率1/2なので、この場合の手数の期待値は
8手*(1/2) + 8手*(1/2) = 8手
となります。

②正位置

それぞれ確率1/2です。この場合の手数の期待値は
0手*(1/2) + (RU'R'U'yL'UL-y'U'RU'R'U'yL'UL=18)手*(1/2) = 9手
となります。

③異位置

どこを手数として評価するのかなどについてはコーナーと同様です。
RU'R'U'yL'UL = 8手
となります。



M2L
第1フェーズ:エッジ
①ノン・イレギュラー

それぞれ確率1/2で出ます。この場合の手数の期待値は
3手*(1/2) + 3手*(1/2) = 3手
となります。

②正位置

これらももちろんそれぞれ確率1/2です。この場合の手数の期待値は
0手*(1/2) + (RU'R'-yU-L'U'L=8)手*(1/2) = 4手
となります。

③異位置

面倒な議論はLBLのコーナーに同様です。
RU'R' = 3手
となります。


第2フェーズ:コーナー
①ノン・イレギュラー

それぞれ確率1/3なので、この場合の手数の期待値は
7手*(1/3) + 7手*(1/3) + 12手*(1/3) = 26/3手
となります。

②正位置

それぞれ確率1/3。この場合の手数の期待値は
0手*(1/3) + (RU'R'-U2-RU'R'-U2-RU'R'-U2-RU'R'=15)手*(1/3) + (RU'R'-U2-RU'R'-U'-(RUR'U')*3=20)*(1/3) = 35/3手
となります。

③異位置

RU'R'U2RU'R' = 7手
です。


比較
比較します。各解法における手数の期待値は、その各フェーズにおいて「正位置」パターン発生数の期待値をp、「異位置」処理の必要回数の期待値をqとし、あとなんかややこしい持ち替え回数(両解法において同じ値)を適当にrとおくと、
LBL: ( 6*(4-p) + (23/3)*p + 3*q ) + ( 8*(4-p) + 9*p + 8*q) + r = 56+(8/3)p+11q +r
M2L: ( 3*(4-p) + 4*p + 3*q ) + ( (26/3)*(4-p) + (35/3)+p + 7*q ) + r = (140/3)+4p+10q +r
と表せます。積の期待値はほんとうは色々とややこしいのですが、今回は色んなものが独立なので多分大丈夫です。ざっくりしててすみません。
従ってその差LBL-M2Lは (28/3)-(4/3)p+q 手となります。

なんか負号がついちゃったので、pの中身を明らかにしておきましょう。詳しい説明は時間がないので省きますが、多分次のような感じです。頑張って計算しました。
パーツのとり得る位置:1680通り
4個正位置:1通り
3個正位置:16通り
2個正位置:102通り
1個正位置:584通り
∴p = 1071/1680 = 0.418...

先の結果を少数に開くと
9.333-1.333*0.418+q = 8.76 + q
って感じなので、


結論
手数はM2Lの方が少ない。全体で少なくとも平均8手。多分9手以上。




4.発展M2L
ほんとうはこの節が一番言いたかったことです。手数が少ないとかどうでもいいです。
M2Lの最も「推し」なポイントはハイレベルなF2Lへの移行が容易ということなのです。



追記!(2018/07/02)
ここで解説されている発展M2Lの内容は執筆当時のアイディアによるものです。現在、M2LからF2Lへの移行について考えの変わった点新しく思いついた点などがあり、その内容に沿った動画講座を製作中です。一度ご覧ください。
M2L履修者のためのF2L動画講座

動画講座はむやみに丁寧で長いので指導者の方向けに簡単に書いておくと
  1. エッジをUBに置きRUR'(鏡手順略、以下同じ)とするエッジ入れを「エッジ入れ②」として導入。
    このとき、エッジ入れ①(もとのエッジ入れ)との使い分けについて
    エッジとコーナーが誤った向きでくっついている:エッジ入れ②
    その他:エッジ入れ①
    とする。
  2. コーナー入れ②を導入。
    下記「④コーナー入れpart2」を参照してください。
  3. 背面エッジ入れ・背面コーナーを導入
    下記「③背面エッジ入れ」「⑤背面コーナー入れ」を参照のこと。
  4. エッジとコーナーの同時処理(F2L)の開始
    この段階ではM2L同様エッジ入れ→コーナー入れ
    パーツが他スロットに埋まってしまっている場合には先にU面に追い出してからスタート
    コーナーが正しい位置(向きは問わない)に埋まっている場合は普通にエッジ先入れで処理
    実はこの辺動画講座内で少し言い漏らしてる
  5. 「コーナーを下げるIT化」を導入
    エッジとコーナー両方がU面にある場合:コーナーを下げるIT化(コーナーをURBに置いてR nU R')を試みさせる
    うまくいかない(コーナーU面色が白 or 位置が悪い)場合:エッジ先入れ
  6. コーナーU面色が白の場合のIT化
    エッジとコーナーU面にあり、かつコーナーのU面色が白:エッジを下げるIT化(エッジをURに置いてR nU R')
    うまくいかない:エッジ先入れ
  7. 別スロットを用いたIT化
    動画はまだ作ってないです

あとはもう基本41種確認してくださいって丸投げしていいんじゃないかなと思い始めている。




初心者を効率的にF2L強者に引き上げるメソッド
①パートのシームレス化
「エッジ入れるに対応するコーナーを見つけたらそのまま入れてもいいよ」と伝えておきます。
ここでのポイントは「強制ではない」ということです。
この段階ではあくまで「偶然見つけたら入れてもいい」であって「エッジを入れたら次はコーナーを探せ」ではありません。

②AUF省略エッジ入れ
M2Lのエッジパートは、
  ターゲットを見つける
 →持ち替える
 →AUF
 →ゴールをU面へ
 →ターゲットをゴールのある場所まで連れていく
 →ターゲットをスロットに格納する
で説明されるのでした。つまり

これら2つのパターンに対する手順RUR' , RU2R'も理屈としてまったく同じなわけです。説明すればすぐさま理解してくれると思います。

また、僕はこのタイミングでT型F2Lという概念を「エッジパートにおけるラッキーパターン」として教えるようにしています。
「ペアとなるコーナーとエッジでU面に異なる色のステッカーがある場合」は「コーナーとの位置関係によってはエッジを奥に配置してから入れるとコーナーパートがSkipすることがあるよ」といった感じです。あんまり伝わらないかもしれません。でも大丈夫です。
ここまで教えて、次いでちょっとした種明かしをします。

既に手に馴染んでいる(RUR'U')*3
実はこれ、前半の2回のRUR'U'によりT型F2Lを作っていたんです。(実際に回して確認してみてください)
「あなたはもうT型F2Lを知っていたのですよ」って感じですね。オシャレじゃないですか?
T型に見慣れるまでしばらく(RUR'U')*3の最後のRUR'U'はゆっくり回してもらうようにするとよいです。

エッジパートにおけるラッキーパターンを教えたら、次はアンラッキーパターンの回避についてです。

エッジとコーナーが最初から誤った状態でくっついている状態(例:左図)に対し、そのままRU'R'でエッジ入れを行うとコーナーがアンラッキーパターンになること、AUF:U2で敢えて奥にセットしてからRUR'でエッジ入れを行うとそれを回避できることを確認しておきましょう。
これができるようになるとタイムのばらつきがぐっと小さくなります。


③背面エッジ入れ
②ではAUFの省略を教えました。次は持ち替えの省略です。
すなわち、
「見つけたエッジのU面のステッカーの色のセンターが正面になるよう持ち替え」
に加えて
「見つけたエッジのU面のステッカーの対面色のセンターが正面になるよう持ち替え」
でもいいよと教えるということです。
慣れるまでしばらくは毎回対面色側に持ち替えさせるのもいいかもしれません。

全て列挙することはしませんが、例えば左図の場合、R'U'Rでエッジを入れられるということはすぐにわかってもらえると思います。
大切なのは原理を理解してもらうことです。たった3手のパートですから、きちんと説明すればそう難しくはないはずです。


④コーナー入れpart2
今度はコーナーパートにおける持ち替えの省略です。

左図の状態からRU2R'でT型F2Lに持ち込めることを理解してもらいます。
コーナーの初期位置は今まで使ってきた手順と変わりません。

左図のようにターゲットとゴールを設定して説明してもいいかもしれませんね。


⑤背面コーナー入れ
ここで遂に、コーナーパートにおける持ち替えを抹消してしまいます。
早速次の手順を導入しましょう。
R'UR-U2-R'UR
「ただ前後逆にやっているだけ」です。
理屈が理解できていればそんなに苦労なく身につけられるはずです。

R'U2R-U'-R'U'R
タイムが落ちることは気にせず、ゆっくり考えながらでもいい(むしろ最初はその方がいい)ので、とにかく持ち替えなしでソルブさせてみましょう。

左右対称も適当に。
(注)

このパターンだけは今まで通りの向きで処理せざるを得ません。
「暗記」した手順なので。


まとめとか色々
どのタイミングで書けばいいかいまひとつわからなかったのでここに書いてしまうのですが、M2Lの設計思想(?)についてです。意味合い的には記事冒頭の「コンセプト」と重なるのですが、一通り手順の説明を終えた上で、より具体的な話をさせてください。

そもそもの気付きは「コーナーって難しい」ということでした。つまり、エッジにはステッカーが2色しかないのに対して、コーナーには3色ものステッカーが貼ってあります。単純に情報量として1.5倍です。更に厄介なことに、こいつは向きがころころ変わります。初学者がその挙動をきちんと理解するのは難しいでしょう。
簡易LBL法で当たり前のように用いられるRUR'をとってみてもそうです。このコーナーの挙動、めちゃくちゃ難しくないですか?

クロスを作る練習をさせられた初学者は、エッジの動き方にはある程度慣れています。面も2つしかありません。エッジであれば、きっと目で追い、手順を理解することが出来ます。
そこでエッジファーストという着想を得ました。
せっかく「面を揃えるのではなくパーツを揃える」という認識の転換をさせたのですから、「じゃあ次は2段目のエッジね」と進んでしまって大過ないはずです。それどころか、流れとして自然とすら言えるかもしれません。

次いで気付いたのは、「I型F2Lの方がT型より目で見て理解しやすい」ということです。I型は「ペア」としてひと目で把握しやすいのに対して、T型はやはりコーナーの動きを追わねばならないということが理由としてまず挙げられます。
しかしM2Lでは手順のほとんど(コーナーパートですら)がエッジ主体で説明されています。
手順をエッジ主体で構築し、また説明することで、I型F2Lを目で理解してもらい、そして、理解が難しいT型F2Lは(RUR'U')*3という形でこっそり登場させ、理解に先立ってまず手で覚えてもらうという構成になっています。
目で覚えたI型と手で覚えたT型が発展M2Lで華麗に接続されるという筋書きになっているわけですね。どう?? かっこよくない???
以上設計思想みたいな何か。


さて発展M2L⑤までを習得した初心者ですが、彼は既に結構高度なことができるようになっています。
大別して、F2LのEO判断(持ち替えの有無がわかる)と背面スロットインです。強いですよね。
基本F2L41種を覚えさせるより先に、高度(ということになっているが、ほんとうはとても簡単で、かつ非常に重要)な”知識”を身につけさせる。よくないですか?

ちなみに、この方法で試しに育ててみたのがROCK MENのズエズエです。
実際に見たことのある方はご存知と思いますが、彼女めっちゃF2L上手いです。Sumさん曰く「Fazのソルブを4倍に引き伸ばした感じ」。(指が遅いので)
本人の努力やセンスはもちろんですが、「成功例」として結構いい感じじゃないですか? サンプル数1ですみません。

はいというわけで、僕の記事は以上となります。拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。質問等あればコメントまたはTwitterでお願いします。
皆さんもどうかM2Lを使って新たなキュービストを生み出してみてくださいね。




(2017/12/23)

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